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第612回 邱さんと同世代の台湾人医師の青春回顧談

あなたがこれまでお読みになった
邱永漢さんの本のうち、一番気に入っているのは
何という本ですか。
たくさんのジャンルの本がりますので
一冊だけを選ぶのは難しいかもしれません。

私は前に、目に入ったらすぐに買う著作として
『母から娘に伝える邱家の中国家庭料理』
を挙げましたが、これは名の通り料理本です。
これに対し、生きてこられた道を伝える本として
一番好きなのが『わが青春の台湾 わが青春の香港』です。
これまで多くの人に薦め、お読みになられた方から
ほぼ例外なく感謝されましたので、これからも
お読みになることを薦めていくつもりです。

この本には、日本統治下の台湾で青春期を送った
邱炳南(邱永漢さんの本名)という一人の青年が
体験したことが書かれていまして、そのため、
私はこの頃の台湾に関心を持つようになりました。

ただこの時期のことについて書かれた本は
あまりなく、わずかに、邱さんの中・高時代の同級生で
のちに台湾の総統となった李登輝さんの体験を伝える
伊藤潔さんの『李登輝伝』(平成8年)や
李登輝さんのお書きになった『台湾の主張』(平成11年)
を知るのみでした。

しかし、今回、手にとらせていただいた
『診療秘話五十年―一台湾医の昭和史』(平成9年)
の著者である楊蓮生さんは、邱さんと同じ1924年に
台湾でお生まれになった方です。

そして学生時代の生活も医師としての生活も
ずっと台湾で過ごされ、そうした生活のなかで
体験されたことが読みやすい口調で書かれています。
そして今や金持ち国の仲間入りをした現代の台湾社会で
起こっていることがユーモアを交えた口調で書かれ、
私は一気に読ませていただきました。

邱さんの『わが青春の台湾・香港』をお読みになり
あの時代の台湾で邱さんと同年代の方が
どう過ごされたかに関心を持たれる方は
是非お読みになると良いと思いました。



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執筆者:戸田敦也(2007年04月19日)

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■戸田 敦也 (とだ・あつなり)
toda.jpg 邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。

■戸田敦也さんへのメールはこちらまで: todaatsunari@gmail.com