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第589回 人の相談にのれば多くのことを教えられる
邱永漢さんが「邱永漢財務相談室」を始められたのは
昭和45年くらいのことだと私は思っていますが、
その仕事がどういうものであったかについて
確かめよう思うと、とりあえず、2冊の本が浮かびます。
1冊は『私は77歳で死にたい』という本です。
この本は文庫版も出ましたから、
お読みになった方も多いでしょうか。
この本を開きましょう。
「(前略)そうしたら、猛烈な株式ブームにぶつかり、
たちまち株の大先生に祭り上げられ、
日本全国から株式投資の指南を乞う手紙が
舞い込むようになった。
『株式レポート』を発刊しないかとか、
全国的に会員を募集して投資顧問業をやらないかとか
誘われたが、一切断った。
たまたまその頃、北海道からでてきた
元北海道タイムス社長の竹田厳道さんが
『みんなお金儲けの神様のご託宣を
聞きたがっているのだから、
お金儲け相談業をやりましょうよ。
私が新聞広告代を引き受けますから、やってみて下さい』
と無理矢理、私をひきずり出した。
私が『邱永漢財務相談室』という看板を出すと
日本国中からお金を払って相談に来る人が
押しかけてきた。私は昼食を食べるヒマもないほど
忙しい目に合わされた。
お金の悩みを持った人はあらゆる職業の
あらゆる年齢の人にまたがっている。
人の相談にのることは人から教えてもらっている
ようなところがある。
相談にのってもらいためには
自分の悩みと同時に自分の秘密も
打ち明けなければならない。
それがあらゆる業種に及ぶから、
私は居ながらにして、天下の情報に通じるようになる。
人生の裏表にも通ずるようになる。
おかげで私は日本の産業界や
雑多な職業の裏表に精通するようになった。」
(『私は77歳で死にたい』)
邱さんが引きずりこまれて始めた『相談業』が
大変繁忙を極めるものであったことがよくわかりますが
「人の相談にのることは人から教えてもらっている
ようなところがある」というところは
今の私などにもよくわかります。
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執筆者:戸田敦也(2007年03月27日)
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邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。
■戸田敦也さんへのメールはこちらまで: todaatsunari@gmail.com

