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第540回 自助努力が重視される時代の見本

渡部昇一さんは、本多静六さんの生涯を描いた
『財運はこうしてつかめ』の第一章
「今、なぜ本多静六さんか」のなかで
本多さんは自助努力の人であったと
次のようにお書きになっています。

「本多博士は『財産告白』の中で、
『経済的自立は自分で獲得する以外に方法はない』
と記しておられる。
これは別の言葉で言えば
『自助努力をもって最高の価値と成す』
ということになるであろう。
実際、博士の人生とはまさに自助努力そのものであった。
博士は自分の貧しさを他人のせいにしたり、
社会のせいにしたりせず、自分の努力で解決しようとした。
そして、その努力を続ける間に、仕事とは愉しいもの、
道楽であることを発見し、いささかもたゆむことなく
学問の道に精進し、幸福な一生を送ったわけである。」

さて、渡部さんは戦後、この自助努力という言葉が
軽くなったが、今また見直されているという。
「自分の経済的ハンディキャップを
自らの努力で克服するのではなく、
社会の制度を変えたり、国家の援助によって
解決する発想が支配的になったからである。
貧しい人がいるのは社会のゆがみのせいであると断罪し、
手厚い社会福祉によって貧乏を解決しようという思想が
日本のみならず、世界中に広まった。
その結果、自助努力という言葉が軽いものになってしまった。
だがここ数年、自助努力の価値が世界中で
復活しつつある。時代はグルット一回りし、
もう一度、スマイルズ(『自助論』の著者)や
本多博士の思想が見直されるようになったと感じるのは
私だけではあるまい。」

渡部さんはその論拠として、
自助努力を否定したり、私有財産を否定したりしても
何の解決にもならいことがハッキリしたことをあげ、
「自助努力が重視される時代において、
個人の生き方として何が大事か・・・・
その最高の見本が本多博士の生き方ではないかと、
私は最近、とみに感じるようになった。」

この解説を読んで、渡部さんの『財運はこうしてつかめ』が
文句なく面白いわけがわかったような気になりました。



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執筆者:戸田敦也(2007年02月04日)

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■戸田 敦也 (とだ・あつなり)
toda.jpg 邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。

■戸田敦也さんへのメールはこちらまで: todaatsunari@gmail.com