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第471回 「建値(たてね)を忘れよ」

前回、邱永漢さんと株の話をし、
「買ったときの値段にこだわらないことが大切です」
と教えられたことを書きました。

そのとき、私は「先生がおっしゃっているのは
『建値(たてね)を忘れよ』ということですか」
とたずねたところ、邱さんは
「そうです」と相槌を打ってくださいました。

実は私は『建値(たてね)を忘れよ』
という諺の意味をよく知っていて、
質問したわけではありません。

私は邱さんがお書きになった本は全冊読み、
株について書かれた本も何度も再読しています。
邱さんは大切なことについてはたいてい
自著の中でお書きになっている方なので
邱さんがいまおっしゃっていることは、
本のどこに書かれてことなのかなと思いました。

当時、邱さんが株についてお書きになっている
本の中に出ている言葉で、
よく理解できないでいた言葉の1つが
『建値を忘れよ』という諺でした。

そこで、邱さんが
「株の買値にこだわらないように」
とおっしゃっている教訓は、
この『建値を忘れよ』ということなのか
と思って質問したわけでです。

いま、この時のことを思い出し、
この諺の意味について調べると、
「「建値」とは信用取引の建て玉の取得値段のことですが
この格言では、もっと一般的に、
自分の今持っている株の買値のことです。」
という解説に接しました。

この解説に接して、「なるほど、なるほどやっぱり
そういう意味だったのか」かと深く納得しました。

実際には株を買った時の値段を
忘れることはまずないし、「忘れなさい」と言
われても忘れることはできません。

しかし、そういうことに執着していると、
目の前にやってきた新しいチャンスを
つかまえることができないまま
時を過ごすことになるから
「この株は見込みがない」、
「この株を買ったのは間違いだった」
と思ったら、思い切って売っぱらって、
見込みのありそうな株に乗りかえるのがいい
といった意味だということがわかりました。



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執筆者:戸田敦也(2006年11月28日)

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■戸田 敦也 (とだ・あつなり)
toda.jpg 邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。

■戸田敦也さんへのメールはこちらまで: todaatsunari@gmail.com