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第472回 見切りには「千両」の値打ちがある

買った株が値を下げ、やむをえずそうした株を
手元に持ち抱えている人が多いと思います。
損をしたということを認めたくない気持ちが
働いているからです。

売ってしまえば、損をしたことを白日のもとに
さらすことになるので、そういういうことは
避けたいという気持ちが働くのです。

また、もう少し時間がたてば、
値を戻してくるのではないかという期待も働きます。
これまで辛抱してきたのだから辛抱ついでに
もう少し、我慢しよう、そうすればいつか
値を戻すことになるかもしれないという期待です。

はっきりした見通しはないけれども
何とかなるかもしれないという
困った時の神頼みに似た心理です。

実際、そういういい目に出会える可能性も
なくはないのでしょうが、元値を割った株を
塩漬け状態にして持ち続けることで得られるプラスより、
失うことのほうが大きいぞと教えるのが
前回とりあげた「建値を忘れろ」という格言でしょう。

そして、元値を割っている株を思い切って
売ることで、かえって大きな得を手に入れる
可能性がでてくるとアドバイスするのが
「見切り千両」という格言ですね。

見切ることで、損を白日のもとにすることになりますが
このことによってこれまで足かせになってきた過去と離別し、
気持ちを新たにして、投資行動を再出発させる
このことで明るい未来が開く可能性がでてくるので、
見切ることに千両の値打ちがあるといっていのでしょう。

過去にとらわれるより、未来に向けて
再出発したいと思う人たちに向いた
教えだと思います。



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執筆者:戸田敦也(2006年11月29日)

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■戸田 敦也 (とだ・あつなり)
toda.jpg 邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。

■戸田敦也さんへのメールはこちらまで: todaatsunari@gmail.com