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第425回 邱永漢さんの16年前のベトナム体験

14年前に書かれた邱永漢さんの『人財論』を
本棚から取り出してページをくると、
これから注目に値するのが
フィリピンとベトナムであるとし、
ご自身が平成2年、
ホーチミン市を訪れた時の
体験が次のように書かれています。

「私は2年前(平成2年)にホーチミン市を
訪ねたことがあるが、発展途上国に行く時、
ボールペンと煙草を持っていくことにしている。
物資の欠乏している貧乏なところでは、
チップをあげるよりも物をあげる方が
喜ばれるからである。

たまたま日本を発つ前、
あんまり忙しかったので、
バンコクの飛行場でお土産を
何も用意して来なかったことに気づいた。

あわてて免税店にとび込み、
洋モクを何本か買って
ホーチミン市に入ったところ、ガイドさんから、
『ここの人は外国製煙草くらいでは
よろこびませんよ。
免税店より安い値段で道端で
売っていますから』と言われてしまった。

なるほど道を歩くと、
外国製煙草はどこでも売っているし、
ブランデーやウイスキーでさえ、
何十軒の店が軒を並べて堂々と売っている。

外貨が欠乏して洋酒や洋モクの輸入割り当てなど
ないはずなのに、外国製品は町中に溢れているのである。

ベトナム人の安い収入に比べれば、
誰がこんな高価な物を買うだろうかといぶかったが、
これだけ商品が溢れているところを見ると、
密輸を咎めたてる野暮な国ではなくて、
どこからどういうルートで持ち込まれるのかはわからないが、
ベトナムの流通経済は我々が想像する以上に
うまくできており、ベトナム人には商業センスがあることが
一目瞭然である。」(『人財論』平成4年)

以上が16年前に邱さんがホーチンミン市を
訪れた時に体験されたことです。
この邱さんの文章の続きは次回に掲載します。



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執筆者:戸田敦也(2006年10月12日)

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■戸田 敦也 (とだ・あつなり)
toda.jpg 邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。

■戸田敦也さんへのメールはこちらまで: todaatsunari@gmail.com