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第371回 付加価値ってどういうこと?
このところ、工業化による「付加価値」の創造が
富の源泉であるということを取り上げていますが、
ずっと前のことですが、あるとき、銀行に勤めている人から
「付加価値」の意味について聞かれたことがあります。
邱永漢さん著作に『付加価値論』(パート1・パート2)
というのがあるけど、そもそも「付加価値」って
どういうことかと聞かれたのです。
「付加価値」というのは、
生産者が原材料を仕入れ、それを加工して
製品をつくりだす過程で、もとの原材料に
付加した価値というほどの意味ですが、
具体例で話しするのが一番でしょう。
物づくりの重要性を説いてやまない論者として
唐津一さんという方がいらっしゃいますが
『日本経済の復活』という本で、
鉄の製品をつくることを例にとって、
「付加価値創造」の意味を
次のように説明してくださっています。
「日本の鉄鉱石はすべて輸入だが、
いま日本に到着したときの値段は
1トン2千円くらいである。
これを製鉄所で高炉に入れて不純物を取り除き
転炉で室を調整して鋼材をつくる。
できた鋼材は相場だと一トン5万円前後である。
この材料を、自動車メーカーや造船所に運んで
自動車やエンジンをつくる。
先日、大型船舶に乗せる一万8千馬力の
ディーゼルエンジンの試運転を見た。
そこでトン当りの価格を聞いたら、
だいたい80万円だというのだ。
1トン2千円の鉄鉱石からスタートして
完成品まで行くと、トン80万円になる。
このようにしてもモノづくりで生み出される
付加価値こそが、この強力な日本の
経済をつくり出す原点である」
(唐津一『日本経済の活路』平成6年)
鉄鉱石に何度もさまざまな加工を施して
ディーゼルエンジンを創り出すことで
トン当たりで計算すれば原料に対して
400倍もの価値を持つ製品が創り出されている
ことがわかります。
ここで最終製品をつくるまでに
原材料の鉄鉱石に付加された価値が
付加価値です。
最終製品から、原材料のほか
燃料や人件費など、製造に費やされた
諸費用を差し引いたあとに残るものが
付加価値であると定義される場合もありますが、
いずれにせよ、加工度の高い製品を造れば
たくさんの付加価値がうみだされることが
わかります。
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執筆者:戸田敦也(2006年08月20日)
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邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。
■戸田敦也さんへのメールはこちらまで: todaatsunari@gmail.com

