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第369回 輸出加工区の着想が台湾の工業化を促進
ご承知の通り、邱永漢さんは、
24歳の時、台湾の独立に奔走したことで
亡命することを余儀なくされましたが、
昭和47年、台湾国民党政府の懇請を受け入れ
24年ぶりに祖国に帰国されました。
そして、台湾の経済発展のため
獅子奮迅の活躍をされましたが
渡部昇一さんとの対談集
『アジア共円圏の時代』で
台湾で輸出加工区を設けたことが
経済発展に大きく寄与したことを
次のように紹介してくださっています。
「私が帰った頃の台湾は
ちょうど工業化に片足を踏む込んだところでした。
その少し前に、通産大臣の職にあった李国鼎さん
という人が高雄というところに加工区をつくり
『そこに持ち込んだ機械・設備や原料には
一切税金をかけない』という構想を実地に始めました。
他の国の資本と技術をうまく取り入れて、
それを利用してやると、二つのことができるわけです。
1つは雇用の拡大。もう1つは生産技術の定着。
工業化のスタートラインに立っている国にとって
この二つが手に入るというのは大きい。
今日、アフリカやインドに行ってもあるいは
ベトナムに行っても、工業団地を見るように
なったけれども、台湾で李国鼎さんがやった
輸出特別加工区がその走りです。
ずいぶん前に韓国の工業団地に行きましたら
そこの人たちが『全部台湾の真似ですよ』と
言っていました。中国大陸の経済特区もそうです。
発展途上国が効率的に工業化を進める発想と
方策のレベルを、台湾が作り出したわけです。
李国鼎さんは技術畑出身の人ですが、
彼のやったことは台湾経済に大きく影響を
したと思います。」(『アジア共円圏の時代』平成6年)
私は平成5年、邱さんについて
上海浦東地区を見学したことがあります。
その頃の浦東は見渡す限り整地された
土地ばかりでした。
浦東開発の当局がこの土地の上に
工場を建てる外資を誘致しようとしていることが
わかりましたが、こういう形で経済を
発展させていく方式に興味を持ち、
バスのなかで邱さんにこのことについて
たずねました。
その時、このスタイルの開発方式は
台湾の人たちが考え出したもので、
いま中国がそれを真似しているのですと
教えていただきました。
輸出加工区は何とか経済を発展させようとする
台湾の人たちが考え出した独創で、それが
台湾の工業化に寄与し、のちに中国などで
積極的に採用されるされるようになったのですね。
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執筆者:戸田敦也(2006年08月18日)
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邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。
■戸田敦也さんへのメールはこちらまで: todaatsunari@gmail.com

