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第348回 利回り革命を説明するために生まれたのがレシオ

前回、昭和60年に出版された
邱永漢さんの『籠いっぱいの価値ある情報』で
日本の株が利回りをはずれてドンドン買い上げられ、
それを支えたのが,一株当たりの利益が
上がっていきそうだという期待であったと
説明を受けました。

今回はそれに続く箇所を
引用させていただきます。
「私がはじめて株に手を染めた35年ごろ、
株を買う人はいずれも利回りを根拠にして
株の売買をしていた。
銀行金利が6%として、株の配当率は
定期の金利よりも不安定なものだから、
6%より高いのが常識であった。

不安定な利回りを狙うのだから、
せめて一流企業の株を狙えとばかりに、
一流銘柄にだけ人気が集中していた。

それに対して、私は
企業の成長性を加味すべきだし、
どうせ買うなら毎年、増資を繰り返すような
成長企業の会社の株を買い、
株数を増やしていく方が
理にかなっていると主張した。

投資家たちが私の主張に耳を貸してくれたので、
日本の株式市場は一時期、
成長株の株価が額面の10倍にも20倍にもあがり、
反対に一流企業の株価は限りなく額面に近づくという
傾向を見せた。

この時期に、成長株の買い根拠になったのは、
増資をしても配当率が落ちないということであり、
配当率が落ちないためには、
一株あたりの収益率の高いことが重要であった。

俗にレシオと呼ばれている株価収益率は
配当率を離れて株価が高くなっていく傾向を説明するために
アメリカの証券アナリストたちが考え出した理屈である。

一株当たりの収益率が高くなれば
同じ配当率の他の銘柄に比べても当然
高く買われて不思議ではない。

たとえば、一株が50円稼ぐ株が
千円の株価をつければ
レシオは20倍になる。
2千円をつければ、40倍になる。
レシオが低ければ、
株価は高い位置にいても
値段は安いと言えるし、
株価の位置は低くても、
レシオが高ければ、
株価は安いことにはならない。」
(『籠いっぱいの価値ある情報』昭和60年)

ここで取り上げられてる「レシオ」については
「第341回 欧米人の投資の物差しは利益収益率」
ででもとりあげました。

ちなみに、邱さんがこれまでお書きになった
株についての評論を掲載する本は
70冊くらいありますが、
私が記憶するところによれば、
「レシオ」についての記述が最初に登場する本は
最近とりあげている『籠いっぱいの価値ある情報』です。



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執筆者:戸田敦也(2006年07月28日)

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■戸田 敦也 (とだ・あつなり)
toda.jpg 邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。

■戸田敦也さんへのメールはこちらまで: todaatsunari@gmail.com