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第291回 株は奥の深いマネーゲーム

定年を機に、株式投資を始められる方が
いらっしゃいます。
そうした方の行動スタイルについて、
邱永漢さんが、
『シルバーグレーの金銭学』
という著作で次のように
お書きになっています。

「在職中は仕事に追われて
株をやるヒマもなかった人が、
ヒマをもてあますようになってから、
ある日突然、株に目覚める。
今まで株のカの字も知らなかったのに
退職金の一部を崩して、初めはこわごわ
株を買ってみたところ、やってみたところ
意外に奥が深くて、けっこう株式投資を
楽しんでいるという人も時々見かける。

何歳から始めても、株は面白いものであり、
それぞれに手応えのあるものである。
というのも、賭け事というより
推理小説を読んでいるようなものであり、
結果は金勘定となってあらわれるが、
面白いのはそのプロセスの追究であり、
しかもその結果は必ず数字となって
あらわれてくるから、それを読みきれなかった人の
負けになる。

そうした人々の欲を刺激して株式市場に
集められたお金が、産業界の発展に役立っているとか、
これこそ資本主義の生み出した最高のシステムだとか
いったことは、この際どうでもいいことである。

株は株にお金を投ずる人にとっては財産であり、
しかもいつでも必要なら換金できる。
それでいて、増えもすれば減りもするものであり、
相場に揺られながら、
獲物のあとを追いかけるものであるから、
さしあたり船に乗って魚の群れを追っているのと
一番よく似ている。」(邱永漢『シルバーグレーの金銭学』)

先日来からご紹介している大阪在住の友人などは
定年を機に、株をはじめられた方のお1人です。

この方はご家族の中で、奥様も息子さんも
良い成績をあげているのに自分はうまく行かないので、
なんとかうまくように努力して行こうとされていて、
とても好感が持てます。そういう方に接して
以前、読んだ邱永漢さんの文章の一節を
思い出しました。

確かに株には人を夢中にさせる
奥の深いものがありますね。



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執筆者:戸田敦也(2006年06月01日)

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■戸田 敦也 (とだ・あつなり)
toda.jpg 邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。

■戸田敦也さんへのメールはこちらまで: todaatsunari@gmail.com