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第255回 「人生の棋譜は残しておくべき」
糸川英夫さんの『驚異の時間活用術』という本
を開くと小谷正一(こたにしょういち)さんという
方の発言も紹介されています。
小谷正一さんと言ってもご存知の方は
ほとんどおられないと思いますが、
糸川さんと同じように、生前は
邱永漢さんと親交があった方で
邱さんの文章にもときどき登場されます。
この小谷さんが「伝記」の重要性について
述べておられたことを、糸川さんは次の
ような形で伝えておられます。
「私の友人に小谷正一さんという、
たいへん尊敬している方がいる。
もと電通にいた方であるが、
いつかわたしどもの組織工学研究所の話し合いに
きていただいたとき、小谷さんは
『世の中で非常に話題になったような事がらの
“棋譜”は必ず残しておくべきだ』とおっしゃっていた。
わたしも全く同感だ。
たとえば、出版でいえば、これまで、
誰もが予想もしないような売れ行きを示したものに、
塩月弥生子さんの『冠婚葬祭入門』がある。
この本は、せいぜい売れても2千部がいいところと
いわれていたという。ところがふたを開けてみると、
なんと通算4百万部売れた。
いま圧倒的な人気を呼んでいる『ドラえもん』は
4千万部である。
このようにケタ違いに売れたものは、
その“棋譜”を残しておくべきであろう。
つまり、社内でプランを立てたとき、
いいだした人は誰か、
またそのプランについて誰と誰が反対したか、
反対の根拠は何であったか。
さらに、かなりの反対があったにもかかわらず、
それがプランとして採用された
その理由が何であったのか。
そして実際に発売されて、
人気を読んだ原因はどこにあったのか。
そういうことを、記録として残すべきだというのが
小谷さんの意見であり、私もその通りだと思う。」
(糸川英夫『驚異の時間活用術』)
この文章が書かれたのは昭和56年のことですが
ここで小谷さんがおっしゃっている“棋譜”とは
「伝記」のことで、小谷さんが「伝記」の果たす
重要性を述べておられたことがわかります。
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執筆者:戸田敦也(2006年04月26日)
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邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。
■戸田敦也さんへのメールはこちらまで: todaatsunari@gmail.com

