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第10回 自分と向きあうには根気が要ります
私が30代半ばであったころ(昭和54年ごろ)、
企業としての人事施策の指針をまとめる中で、
「これからは、会社で働く人たちに対し、
自助努力を発揮して、生活設計していくよう
働きかける必要がある」と書き、
このことがきっかけになって、
自分自身の今後のあり方について
考えるようになりました。
そのころ、私は鉄鋼メーカーの社員で、
入社してから、製鉄所や本社で
総務とか労務の仕事を担当していました。
総務や労務の仕事は会社の中では
重要な仕事とされていましたが、
私自身にとっては慣れ親しんでいる分、
新鮮味を感じなくなっていました。
ですが、これから先、
どうしていったらいいのか、
というと、その先が見えてきません。
たいへんじれったく、悩ましい思いの
日々が続きました。
そのころ、私は邱永漢さんの本に
親しむようになり、ずっと前に書かれていた
『サラリーマン出門』
(文庫本は『邱永漢サラリーマン出門』)
という本を読みました。
この本はサラリーマンを卒業して
独立、自営の生活をはじめよう
と考える人に向けて書かれた本です。
私は会社一筋で生きていこうと考えていて、
この本にはなじめないものを感じました。
ですが、この本には一つの明確な生き方が
紹介されているわけで、“独立、自営の生活”
の生き方がなじめないというなら、
「自分は一体どういうことを
したいと考えているのか」と、
自分に問いかけるようなりました。
そういう問いかけを自分に向かって
発するようになるまで
ずいぶん時間がかかってしまいましたが、
『サラリーマン出門』を読んだおかげで
自問自答が行われるようになり、
だんだん自分の本音が現れてきました。
自分と向きあうには根気が要る、
というのが当時をふりかえっての
私の感慨です。
執筆者:戸田敦也(2005年08月24日)
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邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。
■戸田敦也さんへのメールはこちらまで: todaatsunari@gmail.com

