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第78回 「会社拝見 ⑤」 ~千代田化工建設株式会社~ その3

「8.特命受注はふえる一方
   ところで、千代田化工の最近の業績はどうなっているか。


   (百万円) 売上高  利益  同率 配当
   34・3   2,358   72   48  16
   34・9   2,214   75   50  16
   35・3   2,895  106   42  16
   35・9   3,897  141   47  16


   川崎工場の完成によって、企画設計から製作、据付まで
   一貫して請負える体制がととのったので、
   売上げは前期から飛躍的に増大しはじめ、来三月期は四十五億円、
   九月期は五十五億円と年間百億円を見込んでいる。
   受注高はいちおう七十億円になっているが、
   三菱石油の水島製油所の工事だけでも百十億円、
   それを四期に分けて売上げに計上するから、その分だけで
   毎期二十五、六億円が確保される。
   「あんまり受注が多いというと、あそこはなかなかつくってくれないだろうと言って、
   注文がひっこみますから、受注高は発表しないで、
   出来あがった工事の方を発表する方針にかえましたよ」
   と玉置さんは詳細をさけたが、とにかく入札なしの特命受注をしてくれる会社は
   現在すでに三十数社、将来、これを百社くらいまで拡大したいというから、
   受注量はますますふえて行く一方であろう。

   なにしろ石油化学は今後の日本の成長産業の本命である。
   何十という事業会社が石油化学に進出はじめている。
   そのたびに千代田化工に金儲け仕事がころがりこんでくる。
   激しい競争の結果、
   事業会社の中にはふりおとされるものも出てくるかも知れないが、
   その前に千代田は金をポケットに入れてしまっている。
   ことに技術革新の激しい分野だけに、不景気だからと言って
   工場建設を中止するわけには行かない。
   だから、石油化学が本命だとすれば、石油化学を営む事業会社よりも、
   建設と機械の両成長産業部門にまたがるプラント・メーカーである
   千代田化工建設こそ本命であるというのが私の見方である。


9.倍額増資の次に来るもの
   千代田は過去三年間、連続増資をつづけてきた。
   今後もこのスピードで膨張して行くかどうかは、
   社長が事業をどういう方向に進めていくかによってきまるが、
   その企業素質からも十分立てられると言ってよい。
   さしあたりは、倍額増資が近づいており、それをはやして株価は
   五百六十五円の高値をつけ、暴落にもかかわらず、なお五百円台を維持している。
   まったく採算なんてものではないが、十一月二十八日の総会が終れば
   具体化することになっているので、市場全体に大きな変化が起こらなければ、
   六百円台をつけることも考えられる。
   もし反対に急落場面があったら、その時こそ躊躇なく買ってよい株の一つである。

   なお、当社は本年夏からすでに上場申請をしており、
   多分、今期ちゅうに上場の運びになるであろう。
   店頭銘柄というと売買の不円滑なものが多いが、その中にあって千代田は、
   日に五万、十万株の出来高がある。
   業績の規模、株式の分布状態から見ても、すでに上場の資格十分で、
   近く上場されたら、機械部分のポストに加わって荻原製作所と甲乙を争う存在になろう。」


この企業は日本のエネルギーが、石炭から石油に大きく転換していった中で、
うまく流れに相乗りした会社だったと思います。
なにしろ、入札なしの特命受注をしてくれる会社が三十数社あったということですから、
相当技術力も高く、他社の追随を許さないものがあったのでしょう。

上の売上高、利益を見てみると、
昭和35年9月期は、対前年同月比で、売上げが76%、利益が88%も
増加していることがわかります。
まさに瞠目すべき数字です。この時期にブレークスルーしたことがわかります。
この成長率は、隣りの中国の成長企業と相似の事象を呈しています。

その中国株ですが、この頃は日経新聞にも大きな見だしで報じられるようになり、
日本でもやっと市民権を得られたようです。
5/25の日経新聞の記事を抜粋すると、
「中国の株式市場が一段と過熱している。国際取引所連盟(WFE)の集計によると、
上海、深センの両証券取引所の四月の合計売買代金が六千四百五十三億円ドルと、
日本市場(東京、大阪証券取引所の合計、五千百二十四億ドル)を初めて上回った。
五月も同様の傾向が続く。」
口座数も一億を突破したのですから、波乱を伴いながら、
行くところまで行くということが考えられます。

一方、千代田化工ですが、成長株の合言葉になっていた増資も
三年間連続しているようで、当時の成長株の代名詞だったのでしょうね。
「石油化学が本命だとすれば、石油化学を営む事業会社よりも、
建設と機械の両成長産業部門にまたがるプラント・メーカーである
千代田化工建設こそ本命である」
といった所にミソがあり、成長期には特に川上産業においしい所があったようです。
次回はプレス機械の「小島鉄工所」を紹介していきます。



1954年生れ。52歳。
九州の高校を卒業して
すぐ某建設機械メーカーに入社。
それ以降、現在に至る。
サラリーマン生活のかたわら投資活動を実施。
貧乏旅行を好む。

■虹原太助へのメールはこちらまで → nizihara2000@yahoo.co.jp

執筆者:虹原太助(2007年06月17日)