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第75回 会社拝見 ④ ~雪印乳業株式会社~ その3
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第75回 会社拝見 ④ ~雪印乳業株式会社~ その3
「10.酪農に依存する特殊性
しかし、売上げの規模からいえば、三社の比重は次のごとくなっている。
(百万円) 明治 森永 雪印
34・9 10,499 9,029
35・3 9,121 8、609 27,305
利益(一年) 475 418 302
すなわち、売上げでは雪印が一位にあるけれども、
売上げの割には利益がすくない。
これは雪印がバターやチーズのような利益のうすい製品に主力をおいていて、
採算の良い脂乳(牛乳)の占める比率が他の二社に比して低いからである。
その代り、雪印のバターやチーズは北海道という土地と飼料の関係から、
同じ牛乳を原料としながら、他の製品よりも味の点においてすぐれ、
消費者の間に好評を博している。
雪印製品の全国生産に関する占有率は次のとおり。
バター 六十%
チーズ 七十五.九%
粉乳 三十五.七%
煉乳 二十六%
アイスクリーム 二十六.八%
さらに雪印自身の過去数期における業績を見ると、
(百万円) 売上高 利益 同率 配当
32・3 11,168 181 27 10
33・3 14,546 153 15 5
34・3 19,889 184 15 5
35・3 27,545 302 19 7
年とともに相当な伸びを示してきているが、
今後の売上げはかってないほど順調で、
明年三年期は売上げ三百三十億、利益は五億円から六億円の間を
計上できる見込みだという。
したがって無償交付をやめて、三分増配の現金一割配当になおし、
同時に三割程度の増資にすすむことになる模様である。
11.PR室もございます
雪印の東京工場は志村にあるが、
総工費十一億円をかけて建てた近代的な衛生設備の整った工場で、
見学者に便利なように工場の中心にPR室が設けられており、
そこで説明を聞いた上で、カーテンをあけると、
ガラス窓をすきとおして、牛乳の詰込みをしているところや、
アイスクリームをつくっているところが、
一目のもとに見おろせるようになっている。
牛乳は壜を洗う装置から牛乳を詰めてシールをするまで一貫作業になっていて、
一時間に一つのラインで一万二千本がつくられる。
このラインが四本ある。
東京近郊から集められてきた原料はそのまま殺菌消毒して使われるが、
北海道からくるものは、輸送の関係上、一度脱脂乳とバターに分けられ、
それを東京へもってきて、水を加えたり、
ビタミンで補強したりしてもとにもどすのである。
12.冬期にもアイスクリーム作り
アイスクリームは百種類以上もあって、
夏の最盛期にそなえて冬のあいだも一部製造をつづけており、
私が行った時はクリスマス用の高級品を作っていた。
工場長さんの部屋で出されたミカンの皮の中に入ったアイスクリームは
今年の二月につくったものだそうだ。
ほかにスキム・ミルクとよばれている水を加えると
簡単にとける脱脂粉乳がつくられていて、
これはほとんど雪印の当工場が市場を独占しているそうである。
13.北海道中心を脱皮する
また乳製品のほかに菓子類や罐詰、ジュースの類が
他の工場で製造されていることは皆さんご存じのとおりである。
東京付近には、ほかに品川工場、茅ヶ崎工場があるが、
雪印の主力は何と言っても北海道であり、札幌を中心として、
原料を求めて全道にひろがり、大小合わせて何と、
百十ヶ所も工場をもっているそうな。
これではマンモス企業であることを自慢できるというよりは、
管理に大変な労力を必要とすると言った方が適当であろう。
雪印の経営者たちもこのことは痛感しており、
一日も早く北海道の道路が改善されて、原料の輸送が便利になり
群小工場を閉鎖して全国で二十ヶ所くらいの中型工場に
集約できるようになることを望んでいるようである。
14.今やラッキー・セブン
ところで雪印の将来をどう見るべきであろうか。
さきにも述べたように、雪印は他の二社とくらべ、
原料関係で農民と密接に直結しているので、
需要が供給に充たなかった時代にはさんざん苦杯をなめた。
それが、現在のように供給不足に悩む時代になると、
いままで足をひっぱっていたのが逆に有利に働くようになり、
雪印はこれまでになく明るい将来を約束されるようになったのである。
むろん、乳牛の飼育という酪農経営は
牛乳屋の家に生れた池島さんも言っているように、
一朝一夕に増産のできるものではないが、
それでも年に二十%程度の成長は見込まれている。
また食肉高の脅威をうけたり、自由化による不安もないではないが、
米作だけは保護して畜産は放任するとはまず考えられないから、
潜在的な需要の増大を考えに入れれば、
雪印はもっとも強味を発揮する立場にあるのではなかろうか。
15.着実な増資のベース
この点を多くの投資家が認識するようになれば、
現在の株価は、森永、明治との振合いから見て、
百七、八十円になってもおかしくないし、
明年三月の三割増資が近づけば、
二百円台にのせることも十分予想されることである。
何でも雪印の原料供給者たちは、納入品のニ%に相当する金額を
増資払込金として積立てており、
毎年その程度のスピードで増資してゆく体制にあるそうである。
乳業会社としての雪印が現在の資本金十八億九千万円から
五十億円程度の会社になるのは、そんなに遠い将来のことではない。」
雪印乳業は、利益の数字を見るかぎり、当時は売上げに対する利益率が低いと思いました。
しかしながら、毎年、増収・増益を繰返していくのだから
当時の投資家としては、食指が動いた企業の一つだったのでしょうね。
味がすぐれているというのは、消費者の心をつかんでいったということでしょうから
うまく、時代の波に相乗りしたということだと思います。
ただ百十ヶ所も工場をもっていたのは、やっぱり、多いという印象を持っています。
集中と選択が必要だし、このことが利益率を高めることになるものと感じました。
さて、この企業も増資がクローズアップされていたようです。
成長企業の共通項ですね。
経済の成長も、技術の進歩も、ある時点から
急成長する、ブレークスルーするといったことは興味深いものです。
もっとも裏返せば、成長するのにも、我慢する時間と
たゆまぬ努力が必要ということでしょうが。
1954年生れ。52歳。
九州の高校を卒業して
すぐ某建設機械メーカーに入社。
それ以降、現在に至る。
サラリーマン生活のかたわら投資活動を実施。
貧乏旅行を好む。
■虹原太助へのメールはこちらまで → nizihara2000@yahoo.co.jp
執筆者:虹原太助(2007年05月27日)








