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わが青春の台湾 わが青春の香港(H06.08.20/中央公論社)

出版:H06.08.20/中央公論社 ¥5,150
台湾人として育ち、日本で学び、戦後、故郷の建設に取り組もうとして帰国した著者が、遭遇する波乱万丈の青春の記録。『中央公論』の連載をまとめたもの。


【読後感想をいただきました】
1993年~94年にかけて「中央公論」に連載された文章を纏めたもの。
邱先生の体験に重量を感じました。この本は直接読むに限ります。
この本を読むと、邱先生は太平洋戦争直後、台湾を占領し、
悪逆非道の限りを重ねる国民党からの独立を願い、
立ち上がった台湾独立の志士であったことがわかります。

本書では邱先生ご自身の生い立ちから
思春期、青年期と筆を進められていますが、
それこそ小説に出てきてもおかしくないような大変な体験をされている。
私ごときが言うと失礼この上ないですが、
とても重たい荷物を背負ってらっしゃるように拝察されます。

たまたま長男として生まれ跡取りとして台湾戸籍になったがために
差別待遇を受けた話、228事件ではありもしない罪を被せられて
虐殺された先輩同志を間近で見た話、
国連への台湾独立運動がデカデカと新聞報道され
間一髪で官憲から逃れて香港に亡命した話、
無聊をかこち亡命先の香港で
毛糸のセーターとチョッキとマフラーを自分で編み上げた話・・・。
本人の意思とは拘わりなく時代の流れによって
先生の大志は閉ざされてしまい、結果、今の邱先生になった。

そのお陰で私はおもしろくて役に立つ
先生の著作に親しめており、
よくぞ文筆活動を選んで頂けたと感謝したい。
ただし、それは邱先生の志と引き換えにもたらされた物だということを
決して忘れてはならないと思った。
引き換えた代償があまりにも重いからである。

新刊の「お金持ちになれる人」(2005年)の中で
邱先生はご自身のことを
「私は自分のことを少しばかり先の見える『思想家』かもしれない」
(37頁10行目)と言っておられます。
先生の心が垣間見えた気がした。

邱先生の経済学は
孟子の“恒産なければ因って恒心なし”を
よりどころにして、自分の身近な所から
思考と行動を進めているように思えます。
そう思って読むと邱先生の他の著作も迫力が一段と増してkます。
この自伝を読んでからそう言う気持ちになっています。

(香港/藤本)

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